鼠径ヘルニアの病態を知る｜症状から治療法までを解説！
大阪・梅田の鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」です。
当院では、腹腔鏡を用いた日帰り手術で鼠径ヘルニアを治療しています。
この記事では、鼠径ヘルニアの病態を詳しく解説し、症状や治療法まで幅広く特集します。
鼠径ヘルニアの病態
鼠径ヘルニアとは、その名の通り、足の付け根にあたる鼠径部で発症するヘルニアを指します。一般的には脱腸とも呼ばれる病気です。
ヘルニアとは、体の構造に異常が生じることで、臓器が本来あるべき場所から外に飛び出てしまう状態を指します。鼠径ヘルニアの場合、鼠径部で腸をはじめとする臓器が外に飛び出す状態を意味します。
鼠径ヘルニアの種類
鼠径ヘルニアには、一般的に外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類があります。これらのヘルニアは、鼠径部のどの部分で発生するかによって分類されます。
外鼠径ヘルニア
外鼠径ヘルニアは、小児や成人に多く見られる、典型的なタイプの鼠径ヘルニアです。
外鼠径ヘルニアでは、鼠径部のやや外側が膨らみます。
解剖学的には、下腹壁動静脈という血管の外側にある内鼠径輪という場所（いわゆるヘルニアの入口）から、腹膜や内臓が外に脱出します。脱出した腹膜や内臓は鼠径管という経路を通り、外鼠径輪（いわゆるヘルニアの出口）から腹壁の外に到達します。
内鼠径ヘルニア
内鼠径ヘルニアは、中高年の男性に多く見られるタイプの鼠径ヘルニアです。加齢に伴い、鼠径部の筋肉が脆弱化することで発生します。
内鼠径ヘルニアでは、鼠径部のやや内側が膨らみます。
解剖学的には、下腹壁動静脈の内側にあるHasselbach三角という場所の筋肉が弱くなり、穴が開いて腹膜や内臓が外に押し出されます。
大腿ヘルニア
大腿ヘルニアは、中高年女性に多く見られるタイプのヘルニアです。
大腿ヘルニアでは、鼠径部のやや下方（鼠径靭帯の下側）が膨らみます。大腿輪という場所から、腹膜や内臓が外に押し出されます。
大腿ヘルニアは、外鼠径ヘルニアや内鼠径ヘルニアに比べて発症頻度は低いものの、嵌頓が起こりやすいため、早期の手術による治療が強く推奨されます。
鼠径ヘルニアの原因
鼠径ヘルニアの原因は、小児の鼠径ヘルニアと成人の鼠径ヘルニアで異なります。
当院が診療している成人の鼠径ヘルニアにおいては、性別、加齢、そして腹圧がかかりやすい環境などが発症原因として挙げられます。
特に、性別については、鼠径ヘルニアは身体の構造上、女性よりも男性に多く発症します。また、加齢によって鼠径部の筋肉が衰えることも、鼠径ヘルニアの主な発症原因の一つです。
【成人鼠径ヘルニアの発症原因（危険因子）】
1.男性
2.高齢
3.鼠径ヘルニアの家族歴
4.肉体労働の量
5.飲酒歴
6.喫煙歴
参考：鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024より
※2024年8月17日、日本ヘルニア学会HP閲覧。
最新情報は https://jhs.gr.jp/guideline.html をご確認下さい。
鼠径ヘルニアの症状
鼠径ヘルニアの代表的な症状には、鼠径部に現れる「ピンポン球のような膨らみ」が挙げられます。この膨らみは、立っている時や力を入れると大きくなり、横になるか力を抜くと凹んだり消えたりする特徴があります。
その他の症状としては、以下の内容が挙げられます。該当する項目がある場合、鼠径ヘルニアの可能性があるため、注意が必要です。
【鼠径ヘルニアの主な症状】
□ 太ももの付け根（股）に、柔らかい膨らみが現れる
□ 膨らみは手で押さえたり、横になると引っ込み、消失する
□ 物を持ち上げたときに、太ももの付け根に膨らみが現れる
□ 長時間歩いたり、立っていると太ももの付け根に違和感や痛みを感じる
□ お腹が張った感じがする、または痛みがある
鼠径ヘルニアの進行リスク
鼠径ヘルニアの患者さまの中には、違和感を感じるものの、痛みがないために病気を放置される方がいらっしゃいます。しかし、鼠径ヘルニアを放置すると、腸壊死や腹膜炎といった重篤な状態につながる可能性がある「嵌頓（かんとん）」の発症リスクが高まり、非常に危険です。
嵌頓とは「嵌まり込む」ことを意味します。鼠径ヘルニアの場合、鼠径部にできた筋肉の穴に腸が嵌まり込み、抜けなくなる状態を指します。
この嵌頓を発症すると、腸閉塞、腸壊死、腹膜炎といった危険な状態につながる可能性があります。
鼠径ヘルニアが疑われる場合、危険な合併症である嵌頓を防ぐために、早期に医療機関を受診し、正確な診断と治療を受けることが重要です。
鼠径ヘルニアの治療法
鼠径ヘルニアは自然に治癒することはなく、治療には手術が必要です。
内科疾患のように生活習慣の改善や薬剤では治療できません。また、ヘルニアバンドで穴を防ぐといった対策もありますが、日常生活を送りながら適切に穴を防ぎ続けることは現実的には困難です。
このように、手術が唯一の治療法となる鼠径ヘルニアですが、その治療法には主に「鼠径部切開法」と「内視鏡（腹腔鏡）手術」の2種類があります。
また、従来は入院が必要だった鼠径ヘルニアの手術ですが、最近では医療技術の進歩により日帰り手術での治療が可能となっています。
まとめ
この記事では、鼠径ヘルニアの病態を詳しく解説し、症状や治療法まで幅広く特集しました。
ご紹介した内容を以下にまとめます。
まとめ
鼠径ヘルニアとは、足の付け根にあたる鼠径部で発症するヘルニアを指し、鼠径部で腸をはじめとする臓器が外に飛び出す状態を意味する。鼠径ヘルニアは、一般的に外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニア、大腿ヘルニアの3種類があり、発生する場所により分類される。
鼠径ヘルニアの代表的な症状としては、鼠径部に現れる「ピンポン球のような膨らみ」が挙げられる。発症原因としては、性別、加齢、そして腹圧がかかりやすい環境などが考えられる。
鼠径ヘルニアは自然に治癒することはなく、治療には手術が必要。放置すると、危険な状態である「嵌頓（かんとん）」を発症する可能性があるため、早期診断と早期治療が重要。
今回ご紹介した内容が、ご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
鼠径ヘルニアは当院までご相談ください
大阪・梅田の鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」では、成人鼠径ヘルニアを内視鏡（腹腔鏡）による日帰り手術で治療しています。
2022年8月の開院以降、当院は多くの鼠径ヘルニアの患者さまの手術を行ってきました。直近の月間の手術件数は60件を超えています。
また、当院は、JR大阪駅から徒歩3分の好立地にあり、土曜・日曜・祝日も診療を行っているため、患者さまが通院しやすい環境です。
鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、当院までご相談ください。
関連ページ
