足の付け根のしこり、押すと痛い場合に疑われる病気を解説!

大阪・梅田にある鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」です。当院では、成人の鼠径ヘルニアに対し、内視鏡(腹腔鏡)を用いた日帰り手術を行っています。
本記事では、「足の付け根にしこりができた」、「足の付け根のしこりを押すと痛い」、「足の付け根に痛みを感じる」といった症状から考えられる病気について解説します。ぜひご参考ください。
足の付け根にあたる「鼠径部」とは

一般的に「足の付け根」と呼ばれる部位は、医学的には「鼠径部(そけいぶ)」と呼ばれます。
鼠径部とは、足の付け根の溝の内側に位置する、三角形状の下腹部のことを指します(上図イラスト参照)。股関節の前方にあり、股間を構成する重要な部位でもあります。
この鼠径部に「しこり」や「痛み」などの症状が現れた場合には、鼠径部に関連する疾患が疑われるため、注意が必要です。
足の付け根の「鼠径部」で起こる代表的な病気

足の付け根にあたる「鼠径部」には、さまざまな病気が発生する可能性があります。特に「しこりがある」「押すと痛い」「膨らみが引っ込んだり戻ったりする」などの症状がある場合、以下のような病気が疑われます。
鼠径ヘルニア(脱腸)
鼠径部の筋肉に穴が開き、腸などの腹腔内の臓器が皮下に飛び出す病態で、一般的には「脱腸」と呼ばれます。
主な症状
- 鼠径部にピンポン球大のやわらかい膨らみが現れる
- 立ち上がった時や咳・排便時など腹圧がかかった時に膨らみが大きくなる
- 仰向けになると自然に膨らみが引っ込むことが多い
鼠径部リンパ節腫脹
鼠径部にあるリンパ節が、感染や血液疾患(悪性リンパ腫など)により腫れる状態です。リンパ節は異物や病原体をせき止める働きを持ち、炎症時に腫脹します。
主な症状
- 鼠径部にコリコリとした硬いしこりが触れる
- 押すと痛みがあり、赤みや腫れを伴うこともある
動脈瘤、静脈瘤
鼠径部を走る血管が何らかの原因で瘤(こぶ)状に膨らんだ状態です。動脈瘤は拍動を伴うことがあります。
主な症状
- 鼠径部に弾力のあるしこりや膨らみがみられる
- 動脈瘤では拍動を感じることがある
- 姿勢や腹圧の変化で大きさが変わらない
- 通常は痛みがなく無症状のことが多い
軟部腫瘍、膿瘍
皮膚の下(皮下)にできる良性の腫瘍や、感染によって膿が溜まった状態です。一般的なできものや膿溜まりを意味します。
主な症状
- 皮膚表面に硬いしこり、またはブヨブヨした膨らみがみられる
- 膿瘍(膿のたまり)の場合は、触れると熱感や痛みを伴うことがある
Nuck(ヌック)管水腫
20~40代の女性にみられる、比較的まれな病気です。水腫、いわゆる水が溜まった袋が鼠径部にでき、鼠径部の膨らみを認めます。
主な症状
- 鼠径部にやわらかく、弾力のある水様の膨らみがみられる
- 通常は無痛で、大きさの変化は少なく自然には消失しにくい
鼠径部の代表的な病気「鼠径ヘルニア」とは

鼠径部ではさまざまな病気が発生しますが、その中でも代表的な病気として挙げられるのが「鼠径ヘルニア」です。
鼠径ヘルニアとは
鼠径ヘルニアは一般的に「脱腸」とも呼ばれ、足の付け根(鼠径部)の筋肉に穴が開き、鼠径部の膨らみを認めるとともに、腸をはじめとした臓器が外に飛び出す病気です(上図イラスト参照)。
鼠径ヘルニアは小児によく見られる病気ですが、成人、特に40代以上の男性にも頻繁に発症します。研究報告によれば、男性の約3人に1人が生涯に一度は鼠径ヘルニアを発症するとされています。
鼠径ヘルニアの症状
鼠径ヘルニアの代表的な症状は、「鼠径部に現れるピンポン球大の膨らみ(しこり)」です。この膨らみは、立っている時や力を入れるときに大きくなり、横になるか力を抜くと膨らみが凹んだり消えたりします。
初期の段階では、膨らみのみで痛みがほとんどないこともあり、症状を感じながらも放置してしまう方が少なくありません。しかし、治療せずに放置すると、腸壊死、腹膜炎といった危険な状態に繋がる「嵌頓(かんとん)」を引き起こす可能性があり、注意が必要です。
鼠径ヘルニアの嵌頓とは
「嵌頓」とは、「嵌(は)まり込む」状態を意味し、鼠径ヘルニアによって脱出した腸などの臓器が、鼠径部の穴に嵌まり込み、元に戻らなくなる状態を指します(下図イラスト参照)。

嵌頓を起こすと、腸閉塞や腸壊死、腹膜炎といった危険な状態を発症する可能性があります。腸閉塞に伴う嘔吐と誤嚥性肺炎、腸壊死に伴う腹膜炎といった病態は、命に危険を及ぼす可能性があります。
嵌頓は突然起こる可能性があるため、鼠径ヘルニアが疑われる場合には、早期に専門医を受診し、適切な診断・治療受けることが重要です。
鼠径ヘルニアの治療
鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、根本的な治療には手術が必要です。ヘルニアバンドで穴を防ぐなどの対策がありますが、日常生活を送る中で適切に穴を防ぎ続けることは実質的に困難です。
治療は、主に「内視鏡(腹腔鏡)手術」と「鼠径部切開法」の2種類があります。どちらの手術でも、ヘルニアが発生している部位(ヘルニア門)を医療用のメッシュで補強・修復する方法が一般的です。
まとめ

足の付け根にあたる「鼠径部」では、さまざまな病気が発生する可能性があります。特に、「しこりがある」「押すと痛みがある」「膨らみが引っ込んだり再び出てきたりする」といった症状が見られる場合には、鼠径ヘルニアをはじめ、鼠径部リンパ節腫脹、動脈瘤、静脈瘤などが疑われます。
なかでも代表的な疾患として挙げられるのが鼠径ヘルニアです。一般的に「脱腸」とも呼ばれるこの病気は、鼠径部の筋肉に穴が開き、そこから腸などの内臓が皮膚の下に飛び出すことで、膨らみとして現れます。
鼠径ヘルニアは自然に治癒することはなく、放置すると危険な合併症である「嵌頓」を引き起こすリスクが高くなります。
鼠径部の症状があり、鼠径部の病気が疑われる場合は、早期に医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが重要です。
鼠径ヘルニアの治療は当クリニックを受診ください

JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、成人鼠径ヘルニアを治療しています。
当院は外科専門医・消化器外科専門医である院長、ならびに麻酔科専門医により、鼠径ヘルニアの内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術を行っております。また、平日のご来院が難しい患者さまに向けて、土曜日・日曜日にも診療、手術を行っております。
鼠径部の膨らみ、痛みなどの症状でお悩みの方は、鼠径ヘルニアの可能性があります。ぜひ一度、当院を受診ください。
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