鼠径ヘルニアで起こる陰嚢の腫れとは?原因と治療法を解説
大阪・梅田にある鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」です。当院では、成人の鼠径ヘルニアに対し、内視鏡(腹腔鏡)を用いた日帰り手術を行っています。
鼠径ヘルニアは、太ももの付け根の筋肉が弱くなり、腸などの臓器が皮下に飛び出してしまう病気です。特に男性では、飛び出した腸が陰嚢内まで下がり、陰嚢が腫れることで気づかれるケースがあります。
本記事では、鼠径ヘルニアによる陰嚢の腫れの原因や特徴、ほかの疾患との鑑別、そして治療法について解説します。
鼠径ヘルニアで起こる陰嚢の腫れ

鼠径ヘルニアは、太ももの付け根(鼠径部)の筋肉のすき間から、腸などの腹部の臓器が皮膚の下に飛び出してしまう病気です。男性では、飛び出した腸などが陰嚢の中まで下がり、陰嚢の腫れとして気づかれることがあります。
主な症状としては、「陰嚢が片側だけ大きくなる」「柔らかいしこりのような膨らみがある」「立っている時や咳をした時に膨らみが目立つ」一方で、横になると膨らみが小さくなったり、消えたりすることもあります。
これは、立っていると腸が重力によって下がるのに対し、仰向けになると自然にお腹の中へ戻るためです。
このような症状が見られる場合は、鼠径ヘルニアの可能性があるため、早めに医療機関を受診することが大切です。
鼠径ヘルニアとはどのような病気?

鼠径ヘルニアとは、その名のとおり鼠径部で発症するヘルニアを指します。
「ヘルニア」とは、体の構造の一部が弱くなり、臓器や組織が本来あるべき位置から外に飛び出してしまう状態を意味します。鼠径ヘルニアの場合は、鼠径部の筋肉のすき間から腸などの腹部の臓器が皮下へ飛び出す病気です。
鼠径ヘルニアの原因は、小児の鼠径ヘルニアと成人の鼠径ヘルニアでその原因が大きくことなります。当院で治療している成人の鼠径ヘルニアでは、以下のような要因が発症リスクを高めることが知られています。
【成人鼠径ヘルニアの発症原因(危険因子)】
1. 男性であること
2.高齢(加齢による筋肉や組織の衰え)
3.家族に鼠径ヘルニアの既往がある
4.重い荷物を扱う肉体労働
5.飲酒習慣
6.喫煙習慣
参考:鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2024より
※2024年8月17日、日本ヘルニア学会HP閲覧。
成人の鼠径ヘルニアは、男性に多く発症する傾向があります。これは、男性の鼠径部の構造が女性よりも弱いことが一因とされています。また、加齢による筋肉の衰えや、肉体労働・慢性的な咳・便秘などで腹圧がかかりやすい生活環境も、発症リスクを高める要因となります。
陰嚢が腫れるその他の原因(陰嚢水腫・精索水腫など)

陰嚢の腫れは、必ずしも鼠径ヘルニアによるものとは限りません。その代表的な原因として挙げられるのが、陰嚢水腫(いんのうすいしゅ)や精索水腫(せいさくすいしゅ)です。
陰嚢水腫は、陰嚢内に液体が過剰にたまることで陰嚢が腫れる病気です。多くの場合、痛みがなく、時間をかけてゆっくりと大きくなるのが特徴です。小児では自然に吸収されることもありますが、成人では原因が明らかでないことが多く、陰嚢の腫れや違和感が続く場合には手術による治療が検討されます。
一方、精索水腫は、精巣へつながる血管や精管の束である精索の中に液体がたまる病気です。こちらも痛みを伴わない腫れが特徴で、小児に多くみられます。1歳頃までに自然に治ることが多いものの、2歳を過ぎても改善しない場合や腫れが大きくなる場合には、手術が必要です。成人で発症する場合もまれにあり、この場合も手術が治療法となります。
このように、陰嚢の腫れにはさまざまな原因が考えられます。「痛みがないから大丈夫」と自己判断せず、早めに医療機関を受診して正確な診断を受けることが大切です。
鼠径ヘルニアによる陰嚢の腫れの治療法

鼠径ヘルニアによる陰嚢の腫れを根本的に治すには、手術による治療が必要です。生活習慣の改善や薬による治療で治すことはできません。
一時的に膨らみが消失することがあっても、自然に治ることはなく、放置すると腸が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」を起こす危険があります。嵌頓が起こると腸が締め付けられて血流が途絶え、壊死や腸閉塞などの重篤な合併症を引き起こすおそれがあるため、早期の手術が推奨されます。
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鼠径ヘルニアの主な手術には「内視鏡(腹腔鏡)手術」と「鼠径部切開法」の2種類があり、どちらの方法でもヘルニアが発生している部位(ヘルニア門)を医療用のメッシュで補強・修復するのが一般的です。
以前は入院での治療が主流でしたが、近年では日帰り手術での治療が可能となっており、身体への負担が少なく、早期の社会復帰も期待できます。また、全国的に鼠径ヘルニア専門クリニックが増加しており、日帰り手術で専門性の高い治療を提供する体制が整ってきています。
まとめ|陰嚢の腫れを感じたら早めに専門医へ

陰嚢の腫れは、鼠径ヘルニアの症状として現れることがあります。特に、立っているときや咳をしたときに膨らみが目立ち、横になると消失する場合は、鼠径ヘルニアの典型的なサインといえます。
鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、放置すると腸が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」を起こし、重篤な合併症を発症する危険があります。こうした合併症を防ぐためにも、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
また、陰嚢の腫れの原因は、必ずしも鼠径ヘルニアだけとは限りません。陰嚢水腫や精索水腫など、他の疾患でも同じような症状がみられるため、自己判断で様子を見るのは避けましょう。
陰嚢の腫れや違和感を感じた場合は、早めに専門医へご相談ください。
鼠径ヘルニアは当院までご相談ください

大阪・梅田の鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」では、成人鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。
2022年8月の開院以降、当院は多くの鼠径ヘルニアの患者さまの手術を行ってきました。直近の月間の手術件数は70件を超えています。また、当院はJR大阪駅から徒歩3分の好立地にあり、土曜・日曜・祝日も診療を行っているため、患者さまが通院しやすい環境です。
鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、当院までご相談ください。
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