鼠径ヘルニア豆知識

【解説】鼠径ヘルニア手術後の再発について

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村宣亜(せんあ)です。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)の手術後は、
一定期間(概ね1週間〜1ヶ月程度)経過観察した後に
合併症がなければ治癒とみなしますが
治癒したと判断したにも関わらず、手術した側の鼠径部に
再び内臓の脱出が出現してしまう場合があります。

これを再発と呼びます。

『せっかく手術をしたのになぜ再発するの?』
『再発した場合はどうすれば良い?』

今回は、このような問いに分かりやすく
お答えさせて頂きます。

再発鼠径ヘルニアの病態、症状や頻度

再発鼠径ヘルニアは、
『鼠径ヘルニアの治療後に、患側(病気があった側)から再び臓器の脱出を認める場合』
と定義されます。

再発鼠径ヘルニアの病態は、
手術で鼠径部に開いた筋膜の穴を塞いだにも関わらず
何らかの原因によりその穴が破綻する、もしくは別の穴から脱出を来す』
というものです。

このため、再発鼠径ヘルニアも初発の鼠径ヘルニアと同じく
鼠径部の膨らみ、違和感や疼痛といった症状を来します。

鼠径ヘルニアの再発の頻度は、治療方法により異なります。

1990年代以前に多く行われていた、
メッシュを用いない方法(組織修復法: 筋膜の穴を縫い閉じる方法)では、
そもそも鼠径ヘルニアを発症する過程で脆くなった組織を
縫い閉じるため再発率が高く、

再発率は10%程度と報告されていました。

一方で、近年のライトウエイトメッシュを用いたTension-Free手術においては、
再発の頻度は2-3%程と報告されています。

再発鼠径ヘルニアはなぜ起こる?

では、なぜ手術をしたのにも関わらず
再発が起こるのでしょうか?

そのお答えとしまして、
鼠径ヘルニア再発の原因は多岐に渡り、
これが理由ではないか、と推測することは可能かも知れませんが
再発の原因を完全に突き止めることは、現実的に困難です。

患者さまの立場としては、
『もう二度と再発させたくないので、原因がわかるなら事前に知りたい』
とお考えになられる方もおられるかと存じます。

そこで、再発を避けるという観点から
これには最低限気を付けて頂きたい、もしくは
この行動は再発のリスクが高い、と言えること
について
お話させて頂きます。

その1: 生活習慣

ひとつに、生活習慣について。

鼠径ヘルニアを発症しやすい生活習慣は、
日常的にお仕事やトレーニング等で重いものを持ったり、便秘持ちや慢性咳嗽など
慢性的にお腹に強い圧をかけていることです。

このような方々は、鼠径ヘルニアを発症しやすいだけでなく
手術後に再発も来しやすくなります。

鼠径ヘルニアの病態は、腹壁(お腹の筋肉の壁)が部分的に弱くなって破綻し、
そこに腹圧が集中して臓器の脱出を来す、というものです。

手術を行ってもその部分は完全に元の状態に戻ったわけではなく
開いた穴を塞いでいるに過ぎません。

このため、必要十分な手術を行ったのにも関わらず
手術後、あまり間を置かずに強い腹圧をかけてしまうことで
メッシュが組織に馴染む前に、翻ったり、よれたりして
メッシュがずれてしまい
穴が覆いきれなくなってしまいます。

歩行や買い物、立ちしゃがみ程度の日常生活範囲内の動作であれば、
手術後すぐから行って頂いても問題ありませんが

お仕事で重労働をされたり、負荷の強いトレーニングを再開することは
手術直後は絶対に避けて頂き、
手術後、最低でも二週間程度(出来れば一ヶ月)あけてからの再開をお願いしております。

便秘や咳をお持ちの方は、一時的にお薬でコントロールすることをお勧めしますので
個別にご相談頂ければと思います。

その2: 過去に受けた手術の内容

ふたつに、手術の内容について。

鼠径ヘルニアの治療法は、大きく分けて2つあります。

  1. 組織修復法(メッシュを使わず、組織を縫い合わせる方法)
  2. メッシュを用いる方法

先にも述べましたが、
メッシュを使わない組織修復法は、メッシュを用いる方法に比べて
概して再発率が高いと報告されています。

1990年代以前に積極的に行われていた、
メッシュを用いない組織修復法で手術を受けた方や
近年でもメッシュを使いたくないというお考えから、組織修復法を選択された方は
再発のリスクがやや高くなってしまいます。

次に、小児期に手術を受けた後、大人になって再発する場合。

小児期の鼠径ヘルニアの治療では、
そもそもメッシュを用いない方法が行われます。

この場合、大人になる過程で組織の脆弱性が増すことで
再発を来す場合があります。

その他にも、

長年放置されていた結果、巨大化した鼠径ヘルニアの場合
筋膜の穴が大きく伸びきっているため
適切な範囲をメッシュで覆うのが難しくなったり

下腹部の手術(特に前立腺の手術)後の場合、
組織の癒着や瘢痕化などにより剥離が難しくなり
適切な範囲にメッシュを置くことが難しくなります。

もし再発してしまったら

もし鼠径ヘルニアが再発してしまった場合は、
専門医への速やかな相談を強く推奨致します。

再発鼠径ヘルニアは、専門性が非常に高い病態です。

再発鼠径ヘルニアの手術は、初回に比べて難しいだけでなく
大事な臓器を損傷するなど、合併症のリスクが上がることや
適切な手術プランを立てないと、
きちんと治すことそのものが難しくなってしまいます。

鼠径ヘルニアの専門医への速やかなご相談を、お願いいたします。

本日は以上です。

ご一読いただき、ありがとうございました。

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック

岩村 宣亜

鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください

JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。

鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。

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大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村宣亜
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
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