鼠径ヘルニアの再発について
鼠径ヘルニア(脱腸)の手術後は、概ね1週間から1ヵ月程度の経過観察を行い、合併症がなければ治癒と判断されます。しかし、治癒とみなされた後でも、手術した側の鼠径部に再び臓器が脱出することがあり、これを「再発鼠径ヘルニア」と呼びます。
再発鼠径ヘルニアは、「鼠径ヘルニアの治療後に、患側(病気があった側)から再び臓器の脱出を認める状態」と定義され、初発時と同様に鼠径部の膨らみや違和感、疼痛などの症状が現れます。
再発の時期は、一般的に手術後1〜2年以内が多いとされますが、中には10年以上経過してから再発する患者さまもおられます。

鼠径ヘルニアが再発する原因
鼠径ヘルニアの再発の原因は多岐にわたり、個々において再発の理由を完全に特定することは現実的に困難です。しかし、大きく分けると手術に関連する要因と患者側の要因の2つが主要な原因として考えられます。
手術に関連する要因
鼠径ヘルニアの治療法には、大きく分けて「組織修復法」と「メッシュ法」があります。メッシュを使用しない組織修復法は、メッシュを用いる方法に比べて再発率が高いと報告されており、再発の原因となる場合があります。
また、執刀医の経験不足や不適切な術式選択、メッシュの固定不良、出血や感染といった術後合併症なども再発の一因となることがあります。

患者側の要因
患者さまに関連する要因としては、術後管理の不十分さや腹圧がかかる生活習慣が挙げられます。
現在主流となっているメッシュによる補強は、メッシュが体内で安定するまでに数週間〜1か月程度を要します。この時期に強い腹圧(激しい咳、排便時の強いいきみ、重い荷物の持ち上げなど)が加わると、メッシュの固定部が緩み、再発リスクが高まることがあります。
さらに、肥満・喫煙・慢性的な咳・便秘といった要因も再発リスクを増加させることが知られています。

鼠径ヘルニアは対側(反対側)にも発症しやすい
鼠径ヘルニアは、一度治療を行った後でも患部の反対側に新たに発症することがあり、これを「対側発症」と呼びます。対側発症は、体の構造的な弱点や生活習慣、遺伝的要因などが関与して起こると考えられています。そのため、一度鼠径ヘルニアを経験した方は、反対側にも発症するリスクが高いとされています。
治療を行う際には、この対側発症のリスクについても理解しておくことが大切です。
※鼠径ヘルニアの対側発症は、再発とは異なります。
鼠径ヘルニアが再発した場合の治療

鼠径ヘルニアが再発した場合の治療には、再度の手術が必要となります。再発の手術では執刀医に高度な専門技術が求められ、初回手術に比べて難易度が高く、臓器損傷などの合併症リスクも増加します。
国際ガイドラインおよび欧州ガイドラインでは、再発時の手術方法として、鼠径部切開法後の再発には腹腔鏡手術を、腹腔鏡手術後の再発には鼠径部切開法を推奨しています。特にメッシュを用いた手術後の再発は難易度が高くなることから、術式にとらわれないエキスパートによる手術が強く推奨されます。
再発した鼠径ヘルニアでは、適切な手術計画を立てなければ根本的な治療が難しくなる可能性があります。そのため、再発が疑われる場合には、鼠径ヘルニアの治療経験が豊富な専門医による手術を受けることが重要です
当院で行う治療と特徴
当院は、JR大阪駅から徒歩3分の「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」13階に位置する、鼠径ヘルニアの日帰り手術専門クリニックです。開院以来、再発鼠径ヘルニアの患者さまにも多数ご来院いただいており、専門クリニックとして培った経験と技術を活かし、質の高い治療を提供しています。
多くの再発鼠径ヘルニアに対応してきた実績
当院では、開院以来、再発鼠径ヘルニアに対する治療経験を積み重ねてまいりました。再発例では、初回手術による癒着や解剖構造の変化があるため、通常の手術以上に高度な技術と慎重な術式の選択が求められます。
患者さま一人ひとりの病態を的確に把握し、安全性を最優先にした手術計画を立案。鼠径ヘルニア専門クリニックとしての知識と技術を活かし、再発症例に対しても高水準の治療を提供しています。

専門医による安全性を重視した周術期管理
再発手術では、初回手術に比べて出血や臓器損傷などのリスクが高くなる傾向があります。当院では、日本消化器外科学会認定の消化器外科専門医と、日本麻酔科学会認定の麻酔科専門医が連携し、診療にあたっています。
痛みを最小限に抑えつつ、安全な日帰り腹腔鏡手術を実現するためには、外科医と麻酔科医の密な連携が不可欠です。術前から術後まで、各分野の専門医が一貫して患者さまをサポートいたします。

再発例を含めた2,000件超の手術実績
2022年8月の開院以来、当院では鼠径ヘルニアに特化した手術を2,041件(2025年8月時点)行っており、その中には多数の再発症例も含まれています。直近では、月間70件以上の手術を安定して実施しており、経験に裏打ちされた治療体制が強みです。

通院3回の短期間治療で早期社会復帰を実現
再発治療の場合でも、基本的には「初診・手術・術後診察」の3回の通院で治療を完了することが可能です。お仕事や日常生活への影響を最小限に抑えられるよう、短期間での治療と早期の社会復帰を目指して、万全のサポート体制を整えています。

大阪駅から徒歩3分の好立地で土日祝も診療
当院は、JR大阪駅から徒歩3分の「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」13階に位置しており、平日はもちろん、土曜日・日曜日・祝日も診療を行っています。
お忙しい方にも、ご自身のライフスタイルに合わせて無理なく通院・治療いただける環境を整えています。

院長メッセージ
鼠径ヘルニア手術後の再発は1〜2%程度とされており、原因は多岐に渡りますが、初回に適切な手術が行われた場合でも一定の確率で発症します。
一般に、メッシュを用いた手術後の再発は治療の難易度が飛躍的に向上し、病態の把握や術式決定など、手術を行う前から診療をマネジメントする外科医の経験が問われます。また、ただでさえ難易度が高い中で適切な形で再発手術が行われないと、二度目、三度目の再発を起こしてしまうことも決して稀ではありません。
再発手術を担当する医師には、こうした負のスパイラルを止める経験と技術が求められます。
当院では、開院以来数多くの再発手術を担当して参りました。当院が行う腹腔鏡手術はすべての再発手術に最適な手術方法ではなく、患者様ごとに最適な治療法が異なるため、オーダーメイドのご提案を行っております。鼠径ヘルニア手術後の再発でお困りの患者様は、ぜひ一度お気軽にご相談下さいませ。
医療法人大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村 宣亜

治療の流れ
ご予約
受診の申込は、お電話もしくはWeb予約を通じてご予約をお願いします。受診するかどうかを検討中の方には、LINEでの無料相談も受け付けております。

初回受診(診察、治療方針の決定)
初回受診時には、医師の診察を経て治療方針を決定します。治療が必要と判断され、当院での治療をご希望の場合、同日に手術予定日を決定します。
※検査などの都合上、一部の患者さまにおいて手術前の診察回数が増える可能性があります。

二回目受診(手術当日)
ご来院後、まずは体調確認を行い検査着に着替え、手術室へと移動していただきます。手術後は、当院で十分に休息をとっていただき、飲水や自立歩行が可能であることを確認した上で、ご帰宅いただきます。
万一手術後に問題が生じた場合は、患者さまにお渡しする緊急連絡先へご連絡ください。

三回目受診(診察終了)
手術から約一週間後に診察を予定し、問題が無ければ診察終了となります。
経過に異常が無く来院が難しい場合は、オンライン診療のご対応も可能です。

治療費用について
鼠径ヘルニアの治療は、保険診療の適用範囲内で受けて頂くことが可能です。また、高額療養費制度の適用を受けることで、ご負担額を低く抑えることができます。
当院で高額療養費制度を適用して治療を受けた場合、ご負担額の具体例は以下の通りです。
■70歳未満、目安年収370万円未満:約60,000円
■70歳未満、目安年収370~770万円未満:約80,000円
■70歳以上、課税所得145万円未満:約18,000円
※70歳以上の現役並み所得者は、70歳未満と同程度です。
※高額療養費制度による払い戻しを受けた後の額になります。
※自費診療の内容により価格は変わります。
※一部の患者さまに手術物品費用として追加のご負担を頂戴する場合があります。
上記は目安の金額になりますので、費用の詳細に関するご質問は当院までお問合せ下さい。