鼠径ヘルニア豆知識

【解説】鼠径ヘルニア(脱腸)初診から手術後の経過や注意点

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック 院長の岩村宣亜(せんあ)です。

『治療の間までに気を付けることはありませんか?』

『鼠径ヘルニアの手術後は仕事を休むべきですか?』

『痛みはどのくらい続きますか?』

こういったご質問を外来で多く頂戴します。

また、治療の合併症を防ぐという観点から、治療後に注意すべき点があります。

本日は当院での初診から手術までの流れ、手術後の経過や注意点について解説いたします。

初診〜治療日まで:全身状態の麻酔科医による評価、手術前の注意点

初診日から治療日までの流れについて

当院では、初診日・治療日・治療後診察日と、最短3回の診察で治療が完結するシステムを導入しております。
(※治療前の診察回数は、患者さまに応じて異なります)

初診日にご来院された患者さまには、まず身体診察・超音波検査を行い、ヘルニアの状態を評価いたします。
治療の必要性、緊急度、適切な治療法などは、患者さまに応じて様々であり、患者さまからお話を伺った上でご説明いたします。

当院での治療を希望される患者さまには、同日、治療日のご相談と、手術前の検査をご案内いたします。
(場合により、検査日が別日となる可能性があります。詳しくはお電話でお問い合わせ下さいませ)

手術前の検査と全身状態の評価について

検査には、血液検査・心電図検査・呼吸機能検査・胸部レントゲン検査に加え、場合により心エコーによる心機能評価を行います。

当院では必ず、麻酔科専門医がこれらの検査結果を全て精査し、お身体の状態を評価いたします。
安全に治療を受けて頂くために、これらのプロセスは非常に重要であると考えております。

(※心臓や肺など、臓器疾患の重症度が高い患者さまにおいては、当院での治療が困難な可能性があります)

食事や水分摂取の制限について

治療の前日は夜9時までにお食事をお済ませいただき、以降は絶食です。
水やお茶などの一部の飲み物は当日朝6時(手術開始時間に応じて9時)までお飲みいただけます。

制限時間を超えての食事・水分摂取は、誤嚥(胃内容物が逆流して肺に流れ込むこと)の極めて危険なリスクとなります。
これらが守られていない場合は、手術開始時間が遅れたり、手術が延期となる可能性があります。

禁煙について

喫煙中の患者さまにおいては、初診日以降、禁煙をお願いしております。

当院で行う腹腔鏡手術には、全身麻酔が必要です。
喫煙下における全身麻酔は、周術期合併症を増やし、患者さまご自身を危険に晒します。

日帰り手術と言えど、当院で行う医療の内容は、一般病院で行うものと相違ありません。
喫煙中の患者さまは、必ず禁煙にご協力ください。

手術前の体動制限について

治療までの間は可能な限り、腹圧がかかる運動や職務などを減らすようお願いしております。
嵌頓(臓器が詰まること)を起こし、待機期間中に緊急手術になる可能性があります。

もちろん、お仕事などで難しい場合があるかと存じます。お気軽に医師までご相談下さいませ。

ヘルニア

治療後〜ご帰宅いただくまで:麻酔からの速やかな覚醒、持続する鎮痛効果

手術開始〜リカバリールームへの移動

治療は片側の鼠径ヘルニアの場合、麻酔を含めて約1時間ほど(両側だと1時間半ほど)で終了します。
手術中は全身麻酔でお眠り頂いているため、痛みを自覚されることはありません。

ストレッチャーでリカバリールームに移動し、手術後、5〜10分ほどで目が覚めます。
麻酔薬の効果は短時間で切れるため、目覚めは比較的スムーズです。

一方で、鎮痛剤や神経ブロック(局所麻酔薬の注射)による鎮痛効果は、長時間持続いたします。

麻酔後の吐き気がある患者さまに対しては、点滴の吐き気止めを数種類ご用意しております。

休憩室への移動〜ご帰宅

手術後、20〜30分ほどで飲水・歩行が可能です。ふらつきがある患者様も、時間と共に軽快します。

休憩室に移動して頂き、2時間ほどお休みいただきます。
最終的に排尿を確認した後に、ご自身の足で歩いてご帰宅頂きます。

クリニック滞在時間はおよそ4時間ほどとなります。

手術当日のご自身でのお車の運転は大変危険なため、禁止させて頂いております。
また、お付き添いの同伴は必須ではございませんが、患者さまに応じて同伴をお願いする場合がございます。

帰宅後〜夜間:飲み薬の鎮痛薬が効果的、食事制限なし、シャワー浴可

術当日の経口摂取について

帰宅後は食事制限はございません。お好きなものをお召し上がり頂けます。

手術当日の夜はアルコール摂取をお控えください。翌日の夜以降は再開可能です。

手術当日の入浴について

手術当日の夜から入浴が可能ですが、長時間の入浴は出血が再燃するリスクがあります。

シャワーは短時間でお済ませいただき、浴槽への入浴は翌日以降で可能です。

手術直後の痛みについて

痛みのピークはおよそ手術当日の夜間から翌日にかけて訪れます。

痛みの場所は様々ですが、お臍や鼠径部に多い印象です。

傷口の痛みは、神経ブロック(局所麻酔薬の注射)が約半日持続することで、痛みを和らげます。
また、帰宅後は飲み薬の鎮痛剤を適切にご使用いただくことで、痛みが急激に悪化することはありません。

鼠径部の痛みは、軽い違和感から鈍痛、咳をした際に響く、など様々です。
これらの症状には、お持ち帰り頂く内服の鎮痛薬が効果的です。

緊急時の連絡について

治療後の緊急の連絡先として、医師直通の携帯電話番号をお渡ししております。

帰宅後に何か起きたら心配、という患者さま、些細なことでも構いませんので、お気軽に医師までご連絡下さいませ。

翌日:軽めのお仕事への復帰、飲酒・浴槽への入浴

社会復帰や運動制限について

治療翌日から、デスクワークや軽い立ち仕事での職場復帰、またお車の運転が可能です。

『治療後は家で休まないと、メッシュがずれたり破れたりしませんか?』と言うご質問を頂きますが、
ご負担の軽いお仕事や日常生活の範囲内では、そのご心配は不要です。

治療で使用するメッシュは、手術後約二週間から1ヶ月ほどで身体に固定されます。
この時期に腹筋運動などの強い負荷がかかる行為を行うと、再発や慢性疼痛などの合併症のリスクを高める可能性があります。

このため、負荷の高いスポーツや腹筋などのトレーニングは、手術後二週間程度、禁止とさせて頂きます。

同様に、日常生活で重いものを持ったり、便秘で長時間いきむなどの行為も、可能な範囲で構いませんので、お控えください。
(便秘がちでお困りの患者さまには、手術前後で便通を改善する薬を処方いたします)

日常生活について

手術日の絶食や手術による影響により、排便が遅れてしまう場合がございます。
この場合、緩下剤や坐薬などで排便を促すことが可能です。

手術後、3日目以降を目処に排便がない患者さまは、上記薬剤の使用をご検討ください。

もちろん、ご心配な患者さまは当院での処方も可能です。

傷の取り扱いについて

傷を洗ったり消毒したり、などといった処置は一切、不要です。

治療の後にお貼りしたテープは、3日目以降を目処に新しいテープへの交換を推奨しております。
長期間、不潔なテープを貼り続けると、感染のリスクを高めてしまいます。

外れてしまった場合も同様に、新しいテープをお貼りいただくことを推奨します。

内服薬について

手術の際に中止した内服薬は、全て翌朝以降、再開が可能です。

抗凝固薬や抗血小板薬など、血がサラサラになるお薬も同様に、翌朝より再開が可能です。

2, 3日目以降:本格的な仕事復帰も、無理のない範囲で

職場復帰について

長時間の立ち仕事などへの復帰は、手術後2〜3日目以降を目安にして頂いております。

この頃には、多くの患者さまで手術後の痛みが軽快している時期ではありますが、
まだメッシュの固定は不十分であるため、負荷の高いお仕事は出来るだけ避けて下さい。
(お困りの患者さまは、診察時に個別にご相談ください)

1週間以降:軽い運動再開、術後診察〜終診

生活や動作制限について

この時期には多くの患者さまで痛みはほぼ軽快し、体動時の軽い痛みや違和感が残る程度です。

術後1週間程度が経過すれば、散歩やジョギングなどの軽い運動が可能です。
一方で、負荷の高いトレーニングやゴルフなどへの本格的な復帰は、2週間程度を目安にして頂いております。

手術後1〜2週間程度で、術後診察のために受診頂き、問題がなければ終診となります。
患者さまの状態やご心配の患者さまは、もちろんこれ以降でも、ご受診いただくことが可能です。

2週間以降:トレーニングや激しいスポーツ、性行為の再開

腹筋運動を含むトレーニング、負荷の高いスポーツを徐々に再開していただけます。

また、性行為も腹筋に力がかかるため、再開は2週間後を目安として下さい。

1ヶ月以降:経過観察、気になる症状はお気軽にお電話ください

手術後の症状は1ヶ月でほぼ消失します。メッシュの固定が完了し、治癒が見込めます。

一部の患者さまにおいて、1ヶ月以降も痛みが残る患者さまがおられますが、ほとんどの場合は時間の経過とともに痛みが消失します。

治療は終了となりますが、これ以降も再発や慢性疼痛などの合併症が起きないかどうか、経過観察が必要です。

当院では定期受診を頂いておりませんが、患者さまからのお問い合わせを随時受け付けております。

ご不明点はお気軽に、お問い合わせ下さい

いかがだったでしょうか?

本日お話した内容はあくまで目安であり、特に手術後の経過は患者により様々です。

患者さまに応じて、抱えておられる持病や治療に対するご不安は異なります。

『私の症状は鼠径ヘルニアで間違いない?今すぐ治療を受けるべき?』

『持病があるけど治療を受けることはできますか?』

『仕事が忙しいので、できる限りスムーズに治療を受けたい』

あらゆるご相談を受け付けております。お気軽にお問い合わせ下さいませ。

本日は以上です。

ご一読いただき、ありがとうございました。

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック

岩村 宣亜

鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください

JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。

鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。

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大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村宣亜
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
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