鼠径ヘルニア手術後の後遺症とは?合併症リスクと対策について

大阪・梅田にある鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」です。当院では、成人の鼠径ヘルニアに対し、内視鏡(腹腔鏡)を用いた日帰り手術を行っています。
本記事では、鼠径ヘルニア手術後に起こりうる合併症や後遺症、そしてそれらのリスクを抑えるための対策について解説します。ぜひご参考ください。
鼠径ヘルニアの病態と治療

鼠径ヘルニアは、一般的に「脱腸」とも呼ばれる病気で、成人においては中高年男性で多く発症します。ここでは、鼠径ヘルニアの病態や症状、治療法についてご紹介します。
鼠径ヘルニアの病態と症状
鼠径ヘルニアとは、太ももの付け根にあたる鼠径部にある筋膜や筋肉の間に隙間(ヘルニア門)が生じ、そこから腸などの臓器が外に飛び出す病態です。

典型的な症状としては、鼠径部にピンポン球のようなやわらかい膨らみが現れることが挙げられます。この膨らみは、立位や咳・排便時など腹圧がかかったときに目立ち、横になると自然に凹んだり消失するのが特徴です。
鼠径ヘルニアの治療
鼠径ヘルニアは放っておいても自然に治ることはなく、治療には手術が必要です。手術には主に、内視鏡を用いた「腹腔鏡手術」と、直接鼠径部を切開して行う「鼠径部切開法」の2つの方法があります。
いずれの方法でも、飛び出している臓器を元の位置に戻し、ヘルニア門を医療用のメッシュで補強する手術が一般的に行われます。
鼠径ヘルニア手術の主な合併症と後遺症

手術には常に一定のリスクが伴い、鼠径ヘルニアの手術においても、まれに合併症が発生する可能性があります。ここでは、鼠径ヘルニアの手術に伴う主な合併症と後遺症についてご紹介します。
鼠径ヘルニア手術の主な合併症
主な合併症としては、術中・術後の出血、血腫(けっしゅ)、漿液腫(しょうえきしゅ)、術部の感染、消化管の損傷または穿孔、腸閉塞、膀胱損傷などが挙げられます。また、術後に一時的な強い痛み(急性疼痛)や、まれに慢性的な疼痛(慢性疼痛)、さらに鼠径ヘルニアの再発といった問題が起こることもあります。
これらの合併症の発生頻度については、日本内視鏡外科学会が1990年から2019年までに実施した約43万6,000例を対象とした調査によれば、約1.6%の発生率と報告されています。
鼠径ヘルニア手術は安全性が高く、確立された治療法の一つとされています。しかしながら、合併症が全く起こらないというわけではないため、手術前にはそれらのリスクについても十分に理解しておくことが大切です。
鼠径ヘルニア手術後の後遺症「慢性疼痛」
「後遺症」とは、病気やけがが治癒した後も、完全には回復せずに残ってしまう身体的あるいは精神的な症状のことを指します。
鼠径ヘルニアの手術後にみられる代表的な後遺症として、慢性疼痛が挙げられます。これは、手術後3か月以上にわたって痛みが続く状態を指し、日常生活に支障をきたすこともあるため注意が必要です。
慢性疼痛の発症頻度については、報告によってばらつきがあり、海外の研究では15〜53%、国内の報告では0.04〜28%とされています。
合併症リスクを抑えるための対策

鼠径ヘルニアの手術において、合併症のリスクを抑えるために重要な要素のひとつが「執刀医の技術と経験(手術実績)」です。
執刀する外科医の経験が重視される理由は、外科医の手術経験が術後の合併症や再発の発生率に直接影響を及ぼすことが、多くの研究で明らかにされているためです。実際の研究報告によれば、以下のような傾向が確認されています。
- 手術経験の豊富な外科医ほど、合併症や再発の発生率が低下する 3)
- 腹腔鏡手術では、執刀医の経験が術後の合併症を減らすだけでなく、手術時間の短縮にもつながる 1-2)
これらの結果は複数の臨床研究や論文により裏付けられており、熟練した外科医が執刀することで、安全性の高い手術が可能になるといえます。そのため、鼠径ヘルニアの手術を受ける際には、執刀医の経験や手術実績を確認し、信頼できる医療機関を選ぶことが、合併症リスクを抑えるうえで重要なポイントとなります。
■参考文献
1) Bökeler U, Schwarz J, Bittner R, et al. Teaching and training in laparoscopic inguinal hernia repair (TAPP):impact of the learning curve on patient outcome. Surg Endosc. 2013;27(8):2886-93.
2) Lim JW, Lee JY, Lee SE, et al. The learning curve for laparoscopic totally extraperitoneal herniorrhaphy by moving average. J Korean Surg Soc. 2012;83(2):92-6.
3) Feliu-Palà X, Martin-Gómez M, Morales-Conde S, et al. The impact of the surgeon’s experience on the results of laparoscopic hernia repair. Surg Endosc. 2001;15(12):1467-70
鼠径ヘルニアは当院までご相談ください

大阪・梅田の鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」では、成人鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。
2022年8月の開院以降、当院は多くの鼠径ヘルニアの患者さまの手術を行ってきました。直近の月間の手術件数は60件を超えています。
また、当院は、JR大阪駅から徒歩3分の好立地にあり、土曜・日曜・祝日も診療を行っているため、患者さまが通院しやすい環境です。
鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、当院までご相談ください。
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