「高齢者は鼠径ヘルニアの手術しない」は正しい？専門医が解説！

大阪・梅田にある鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」です。当院では、成人の鼠径ヘルニアに対し、内視鏡（腹腔鏡）を用いた日帰り手術を行っています。

本記事では、高齢者の鼠径ヘルニアにおける「早期治療の重要性」と「日帰り手術という治療選択肢」について解説します。ぜひご参考ください。

鼠径ヘルニアの特徴と治療法

鼠径ヘルニアは、特に中高年の男性に多く見られる病気で、一般的には「脱腸」とも呼ばれます。ここでは、鼠径ヘルニアの特徴や治療方法について解説します。

鼠径ヘルニアの特徴

鼠径ヘルニアとは、太ももの付け根にあたる鼠径部にある筋膜や筋肉の間に隙間（ヘルニア門）ができ、そこから腸などの臓器が外に飛び出してしまう病態です。

典型的な症状としては、鼠径部にピンポン球のようなやわらかい膨らみが現れることが挙げられます。この膨らみは、立っているときや咳・排便時など腹圧がかかったときに目立ち、横になると自然にへこんだり消失したりするのが特徴です。

鼠径ヘルニアの治療法

鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、根本的な治療には手術が必要です。市販されているヘルニアバンドで穴を防ぐなどの対策もありますが、日常生活を送りながら継続して使用するのは困難です。

手術には主に2つの方法があります。1つは内視鏡を使用してお腹の中から修復する「腹腔鏡手術」、もう1つは鼠径部を直接切開して治療する「鼠径部切開法」です。いずれの方法でも、飛び出している臓器を元の位置に戻し、ヘルニア門を医療用のメッシュで補強する手術が一般的に行われます。

高齢者の鼠径ヘルニア手術について

鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、根本的な治療には手術が必要です。特に成人の鼠径ヘルニアは高齢の男性に多く見られ、基礎疾患を複数抱えていたり、全身麻酔に対するリスクが高い傾向があります。

ここでは、こうした背景を踏まえ、高齢者における「早期治療の重要性」と「日帰り手術という治療選択肢」について解説します。

高齢者でも鼠径ヘルニアは早期治療が重要

鼠径ヘルニアは良性の疾患であるため、高齢の方の中には「手術をしなくても問題ない」と考える方もいらっしゃいます。特に、複数の基礎疾患を抱えていたり、全身麻酔のリスクが高い場合には、そのような判断をされることが少なくありません。

しかし、高齢者であっても鼠径ヘルニアを放置することは危険です。なぜなら、放置することで「嵌頓（かんとん）」という重篤な状態に進行する可能性があるからです。

嵌頓とは、鼠径部の筋肉の隙間に腸などの臓器がはまり込み、元に戻らなくなる状態を指します。この状態が続くと、腸閉塞や腸壊死、さらに腹膜炎といった命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。特に高齢者では、腸閉塞に伴う嘔吐や誤嚥性肺炎、腸壊死による腹膜炎などが、致命的な結果につながる可能性があるため、早期の治療が重要です。

高齢者でも日帰り手術による治療が可能

高齢者に対する鼠径ヘルニアの手術では、個々の健康状態や全身麻酔のリスクを慎重に評価し、最適な治療法を選択することが大切です。

以前は、入院を前提とした手術が主流でしたが、現在では医療技術の進歩により、日帰り手術が一般的になっており、高齢の方にも適応可能なケースが増えています。

特に高齢者では、入院による環境の変化が「せん妄（せんもう）」と呼ばれる一時的な精神的混乱を引き起こすことがあります。せん妄は、慣れない入院環境によって誘発されやすく、患者さんの精神的な負担を増やす要因となります。

このようなリスクを軽減するためにも、普段の生活環境に近い状態で治療を受けられる日帰り手術は、高齢の方にとって精神的な安定を保ちやすいという利点があります。

そのため、適切な設備と体制が整った専門施設であれば、高齢者であっても日帰り手術が推奨されるケースも多くなっています。（なお、基礎疾患の影響や全身麻酔のリスクが高いと判断された場合には、入院による手術が推奨される場合があります。）

まとめ

鼠径ヘルニアは、特に中高年の男性に多く見られる病気です。良性の疾患であるため、高齢の方の中には「手術をしなくても問題ない」と考える方もいらっしゃいます。

しかし、鼠径ヘルニアを放置すると、「嵌頓（かんとん）」と呼ばれる重篤な状態に進行する可能性があり、高齢者であっても放置は危険です。特に高齢の方では、嵌頓によって腸閉塞が起きると、嘔吐や誤嚥性肺炎、さらには腸壊死に伴う腹膜炎など、命に関わる合併症を引き起こすリスクがあります。

そのため、鼠径ヘルニアが疑われる場合には、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

鼠径ヘルニアは当院までご相談ください

大阪・梅田の鼠径ヘルニア専門クリニック「大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック」では、成人鼠径ヘルニアを内視鏡（腹腔鏡）による日帰り手術で治療しています。

2022年8月の開院以降、当院は多くの鼠径ヘルニアの患者さまの手術を行ってきました。直近の月間の手術件数は60件を超えています。
また、当院は、JR大阪駅から徒歩3分の好立地にあり、土曜・日曜・祝日も診療を行っているため、患者さまが通院しやすい環境です。

鼠径ヘルニアや鼠径部の症状でお悩みの方は、当院までご相談ください。