鼠径ヘルニア豆知識

【危険】女性の鼠径ヘルニア、放置しないで!

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村宣亜(せんあ)です。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)は男性に多い疾患ですが
一部のタイプでは、女性に多く発症するものがあります。

女性に多いタイプの鼠径ヘルニアは嵌頓(=腸が詰まって血流障害を起こすこと)の割合が高く、
重篤化のリスクがあるため
ガイドラインにおいても早期の手術が強く推奨されています。

今回は、女性に多い鼠径ヘルニアについて
分かりやすくお話させて頂きます。

そもそも鼠径ヘルニアが男性に多い理由

鼠径ヘルニア患者の実に八割以上は男性であり、
男性の約三人に一人は鼠径ヘルニアを発症すると言われています。

なぜ男性に多いのでしょうか?

その答えは、鼠径部の発生と解剖にあります。

鼠径部には、発生過程において
『お腹の中と外を繋いでいた通路』である

『鼠径管』と呼ばれる構造物があります。

男性の場合、胎生期にお腹の中で発生した精巣は
鼠径管を通ってお腹の外に移動し、陰嚢内に到達します。
このため、男性の鼠径管の中には
精巣を栄養する血管(精巣動静脈)
精巣から精子を運び出す道である『精管』が通っており
これらは鼠径管を通してお腹の壁(腹壁)を貫通しています。

一方で、女性の場合は精巣そのものが無く、
鼠径管の中には子宮を支える靭帯が通るのみであり
男性に比べて鼠径管は細くなります。

正常では鼠径管そのものは閉じていますが、
内側から強い圧がかかることにより、押し出される形で
鼠径管が太く広がってしまい、臓器が脱出します。

鼠径ヘルニアが通る道が、男性の方が太いこと
これが鼠径ヘルニアが男性に起こりやすい理由です。

一方で、一部の鼠径ヘルニアにおいては
女性に多く発症するものがあります。

女性に多い鼠径ヘルニア①: 大腿ヘルニア

大腿輪と呼ばれる、下肢を栄養する血管(大腿動静脈)の内側から
骨盤の外側に向けて脱出するタイプの鼠径ヘルニアを
大腿ヘルニアと呼びます。

高齢女性や出産を多く経験した中年女性に多く発症し、
通常の鼠径ヘルニアに比べてやや下方から脱出しているため、
専門家が見ると見分けがつく場合があります。

この大腿ヘルニアは嵌頓しやすく、
放置した場合に緊急手術になる割合が高いこと、
加えて腸の壊死により手術の際には腸切除を必要とする割合が高い
ため
原則全例に手術が強く推奨されています。

少し話が逸れますが、
鼠径ヘルニアの手術はメッシュという人工物を用いるため
感染を防ぐ観点から、清潔な環境で行う必要があります。
(人工物への感染は治癒が難しく、是が非でも避けたいため)

一方で、ヘルニア修復と同時に腸切除を行うと
目で見えない腸内の細菌が術野に漏れ出てしまうため
感染のリスクが上がってしまいます。

これらの理由から、鼠径ヘルニアの手術における腸切除は
可能な限り避けるべき、というのが原則です。

女性に多い鼠径ヘルニア②: 閉鎖孔ヘルニア

閉鎖孔とは、骨盤を構成する坐骨と恥骨で構成される小さな穴であり
閉鎖動静脈や閉鎖神経がこの穴を通って骨盤の外に出ていきます。
ここから脱出するタイプの鼠径ヘルニアを
閉鎖孔ヘルニアと呼びます。

痩せた高齢女性に多く発症し、
脱出した臓器により閉鎖神経が圧迫されて
鼠径部や大腿内側の痛み、股関節の動き辛さなど
やや非典型的な症状(閉鎖神経障害)を呈することから、
診断が付きにくいケースがあります。

一方で、大腿ヘルニアと同様に嵌頓しやすいことから
緊急手術、腸切除のリスクが高い疾患です。

女性の鼠径ヘルニアには内視鏡手術が推奨

このような理由から、女性の鼠径ヘルニアは
嵌頓のリスクが高く、緊急手術になる割合が高い、
加えて、腸の壊死に伴い腸切除を必要とする割合が高いため
放置すると重篤化するリスクが高いと言えます。

また、これらの特殊なヘルニアは頻度こそ低いものの
一般的な鼠径ヘルニアの影に隠れている場合があり
適切な手術方法を選択しないと見逃されてしまう
という問題点があります。

このため、鼠径部ヘルニアガイドラインにおいては
女性の鼠径ヘルニアには内視鏡手術を選択するように推奨しています。

当院でも採用する内視鏡手術(TAPP法)は、
お腹の中から鼠径部のあらゆるヘルニアの有無を
一目で確認することが可能であり、

また一枚のメッシュを挿入することで
これらの鼠径部ヘルニアの治療を一度に行うことが可能です。

本日は以上です。

ご一読いただき、ありがとうございました。

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック

岩村 宣亜

鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください

JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。

鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。

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大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村宣亜
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
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