鼠径ヘルニア豆知識

【解説】内視鏡手術とは?どんな特徴がある?

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックの岩村宣亜(せんあ)です。

 

ここ30年ほどで、内視鏡手術は爆発的に増えました。

日本内視鏡外科学会のアンケート調査によると、
内視鏡手術は1990年の2,370件に比べ、2017年には24万8,743件と
実に100倍ほどに増加しました。

一方で、内視鏡手術について
よくご存知でない方々も多いのではないでしょうか。

そこで本日は、内視鏡手術についてお話したいと思います。

 

内視鏡手術とは、小さな傷と良好な視野で行う手術方法

 

内視鏡手術(お腹の場合は腹腔鏡手術)とは、

【小さな傷から細い専用のカメラを挿入して視野を確保し、
鉗子 (かんし) と呼ばれる細長いピンセットのような器具を挿入して、
手術を行う方法】です。
(鉗子は当クリニックのロゴマークにも使用しております)

内視鏡と聞くと、胃や大腸などのカメラがまず連想されますが
基本的なシステムは同じで、それを手術に活用しています。

消化器や婦人科をはじめ、多くの診療科で行われており
当クリニックで行う鼠径ヘルニアに対しても
2017年には約4割ほどが内視鏡手術で行われているというデータがあります*

では、なぜ内視鏡手術はここまで大きく普及したのでしょうか?

従来の手術とは、『自分の目で見て、触って』手術操作を行うため
比較的大きな傷を必要とし、これに伴い手術後の痛みも大きく
回復には一定の期間がかかるのが一般的でした。

これに対して、内視鏡手術には以下のような特徴があります。

 

特徴1:傷が小さく、痛みが少ない

 

内視鏡手術は、主に5mm〜1cmほどの小さな傷で行います。
このため、比較的痛みが少ないのが特徴です。

鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015(以下、ガイドライン)においても、
『腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術は、鼠径部切開組織縫合法やメッシュ法と比較して
手術時間が長いものの、術後疼痛、神経損傷、慢性疼痛は軽度で回復が早い(グレードB)』

と記載されています**。

 

特徴2:傷が小さく、目立ちにくい

 

同様に、傷が小さいため治癒過程で目立ちにくくなります。

5mm以下の傷は、数ヶ月すれば見た目上
ほとんど分からなくなることも少なくありません。

一方で大切なのは、手術の内容や精度です。
傷の大小は、手術の内容とは切り離して考えるべきであり

傷が小さいほど良い手術、と考えるのは間違っています。

このため、ある意味副次的な特徴ではありますが
傷は一生もの。小さいに越したことはありませんね。

 

特徴3:良好な視野による、質の高い手術

 

内視鏡手術がもたらした目に見えにくい恩恵のひとつに、

【拡大視効果】

というものがあります。

現在は、4Kや8Kと言った最先端カメラシステムが
開発・実用化されています。

これにより、非常に微細な組織まで認識することが可能となり
通常は人間の目では認識が難しい組織を認識することで
より微細な手術が可能となりました。

これに伴い、我々外科医には
より精緻かつ、より正確な手術を行うことが
当然のごとく求められています。

鼠径ヘルニアに関しても同様です。

ガイドラインにおいても、
『手技に十分成熟した外科医が実施する場合には、鼠径部ヘルニアに対して
腹腔鏡下ヘルニア修復術は推奨できる(グレードB)』と記載があるように
技術の進歩に伴い、外科医にはより高い技術が求められています。

 

(内視鏡手術と切開法の比較に関しては、過去の記事をご参照ください)

 

大切なのは、内視鏡手術の適応と限界を知ること

 

前述のように、内視鏡手術に様々な好ましい特徴があるのは
『その限界を知りつつ、適応の範囲内で行われているから』という背景があります。

各学会がそれぞれ適応を定めており、これに基づいて各施設で運営が行われていますが
この定めを逸脱すると、様々な医療事故に結びつく可能性があります。

今までにも、内視鏡手術に関する医療事故の報告が複数ありました。
規律は年々厳しくなっていると思われますが、
不十分な技術や環境で手術を行うことは、患者様の不利益にしかなりません。

当クリニックでは、安全・安心を最大のモットーに
患者様への十分な説明とご理解を頂戴することを
運営の大原則といたします。

 

本日も長文ご一読いただき、ありがとうございました。

 

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック

岩村 宣亜

出典
*宮崎ら. National Clinical Databaseにおける鼠径部ヘルニア手術〜Annual Report 2011-2017〜. 日本ヘルニア学会 2019
**鼠径部ヘルニア診療ガイドライン2015. 日本ヘルニア学会

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JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。

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大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村宣亜
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
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