鼠径ヘルニア豆知識

【質問】鼠径ヘルニア、自分でも判断できますか?

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村宣亜(せんあ)です。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)にもいくつかの種類がありますが
我々専門医の診察においても、実際のところほとんどの場合
身体診察が診断の大部分を担っています。

確定診断にはもちろん、専門医による診察が必要ではありますが
本日の内容には『私、もしかしたら鼠径ヘルニアかも?』とお考えの患者さまが、
ご自身の判断で少しでも診断に近付くきっかけになれば、という思いを込めています。

本日は、鼠径ヘルニアの診断方法について
わかりやすくお話しさせて頂きます。

鼠径ヘルニア診断の基本は身体診察

鼠径ヘルニアの診断は、ご自身でもある程度可能です。

その理由は、鼠径ヘルニア診断の基本は身体診察にあるためです。

鼠径ヘルニアの主たる症状は、
鼠径部(太ももの付け根)の膨らみです。

鼠径部の筋膜、つまり腹壁(お腹の壁)を構成する筋肉の壁に穴が開くことで
お腹の内側からの圧力(腹圧)に押し出されて膨らみが出来上がります。

筋膜の穴の大きさは様々ですが、平均的な大きさはピンポン球サイズです。

また、筋膜に穴が開いても、多くの場合は特に痛みなどは感じません。
(永年の負担で筋膜が緩んで伸びる、という表現の方が正しいかも知れません)
このため、発症してもすぐには気が付かない方がほとんどです。

これらをまとめると、
『ある日突然、股の部分にピンポン球くらいの膨らみがあるのに気が付いた』
多くの方はこのような形で、鼠径ヘルニアの発症に気付きます。

また、緩んで伸びてしまった筋膜はゴムのような薄い膜となり
腹圧がかかると膨らむ、腹圧がなくなると縮む、これらを繰り返します。
『膨らんだゴム風船のよう』という例えがよく当てはまります。

このため、横になった状態などで腹圧がなくなると
膨らみは縮み、最後には完全に消えてしまいます。

また、鼠径ヘルニア以外に、厳密に同じ症状を呈する疾患はありません。

鼠径部に腫れや塊を触れる疾患は他にもありますが、
これらの場合は、横になった状態で完全に消え去ることがないからです。

(鼠径ヘルニアの鑑別疾患については、過去記事をご参照ください)

このため、このような症状をお持ちの方は
多分鼠径ヘルニアで間違いだろうな、という判断が可能となるわけです。

身体診察以外の検査が必要な場合

ここからは、身体診察以外の検査が必要になる場合をいくつかご紹介します。

※ヌック管水腫など、そもそも鼠径ヘルニアとの鑑別が難しい疾患もありますが
ここではそれ以外の場合についてお話いたします。

 

ひとつめに、典型的な鼠径ヘルニア以外を疑う場合。

典型的な鼠径ヘルニアとは、外鼠径ヘルニア、内鼠径ヘルニアを、
典型的でない鼠径ヘルニアとは、大腿ヘルニア(閉鎖孔ヘルニアも)を指します。

これらは解剖学的に少し異なるため、専門医は身体診察で見分けられる場合もありますが
(外・内鼠径ヘルニアは鼠径靭帯の上、その他は下にあります)
身体診察のみでは診断が難しい場合も少なくありません。
このような場合、腹部CT検査を行うことで確定診断が可能となります。

 

ふたつめに、ヘルニア部位に臓器が嵌まり込んでいる場合。

最も多いのは、内臓脂肪が嵌まり込んでいる場合です。
多くの場合は内臓脂肪がヘルニア部位と癒着しているため、
常に脂肪の塊を触れ、横になっても完全に膨らみが消失しません。

この場合は、身体診察のみでは確定診断が難しいことや
何の臓器が嵌まり込んでいるのかを確認するため、
腹部超音波検査や腹部CT検査を行うことがあります。

また、腸がはまり込む(嵌頓、かんとん)場合も同様です。
この場合は、確定診断と同時に、嵌まり込んだ腸が壊死を起こしていないか
腹部(造影)CT検査を行うことで、同時に診断が可能となります。

(嵌頓、腸の壊死などについて、詳しくは過去の記事を参照ください)

 

みっつめに、発症の比較的初期で、日中は凹んでいる時間が長い場合。

例えば、『昨晩は膨らんでいたのに』という患者さまの訴えがあるものの
診察に来られた際には戻ってしまっており、診断が付かない場合があります。

このような場合、診断の補助として有用なのが、『いきむ』という行為です。

いきむ、つまり大きく息を吸ってお腹に力を込める行為は
腹圧を高めるため、ヘルニアの膨らみを助長します。

また、仰向けの状態では鼠径部にかかる腹圧が更に高まります。

これらを組み合わせて、
『仰向けでいきむ』状態で腹部CTを撮像することで
鼠径ヘルニアを敢えて脱出させた状態でCT画像に収めることが可能な場合があります。

※ご自身の判断で息むと、嵌頓を誘発する可能性があるため、行わないようにしてください。

放置は危険、専門医にご相談ください

いかがだったでしょうか?

鼠径ヘルニアは原則、全ての患者さまにおいて
専門医による、手術を視野に入れた治療方針の検討が必要となります。

手術、と聞くとご不安になられるのは当然かと思います。

しかしながら、
ご自身の判断で放置することと、診察の上で様子を見ることには大きな違いがあります。

経過観察(様子を見ること)とは、立派な治療の選択肢のひとつです。

経過観察を選択する場合でも、その前提として
命に関わる危険性がある嵌頓をはじめとした、様々なリスクの可能性を精査し
それを患者さまご自身がご理解いただくことが必要です。

ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

 

本日は以上です。

ご一読いただき、ありがとうございました。

 

大阪日帰り外科鼠径ヘルニアクリニック

岩村 宣亜

鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください

JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。

鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。

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大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村宣亜
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
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