当院では、臍ヘルニアに対して、腹膜の内側(腹腔内)ではなく腹膜の外側(腹壁内)にメッシュを留置する「eTEP法(extended totally extraperitoneal repair)」による手術を行っています。
eTEP法は、メッシュを腹直筋と後鞘の間に留置する方法で、Rives-Stoppa法やsublay mesh repairとも呼ばれます。腹腔内ではなく腹壁の層に沿って補強を行うことで、体の構造に近い自然な形で腹壁を修復することができます。
従来の術式との違い
腹腔鏡手術として広く行われている方法に、腹腔内にメッシュを留置するIPOM-plus法などがあります。この術式は確立されており、標準化された手技で行うことができるため、手術時間を短縮しやすい点が特徴です。
また、ヘルニア門の状態や既往歴によっては、腹腔内からのアプローチが適している場合もあり、症例に応じて有用な術式とされています。一方で、腹腔内にメッシュを留置し、タッカーで固定を行うため、術後の痛みや癒着などの合併症が問題となる場合があります。
これに対してeTEP法は、腹壁内にメッシュを留置する術式であり、腹腔内への操作を行わない点が特徴です。そのため、従来の術式と比較して、身体への負担を抑えながら腹壁を補強することが可能です。
eTEP法の特徴
- 腹腔内にメッシュを留置しないため、癒着などの合併症のリスクが低い
- タッカーによるメッシュ固定を行わないため、術後の痛みが少ない
- 筋肉の構造に沿って修復することで、より自然な腹壁構造の再建が可能
※ eTEP法は高度な内視鏡(腹腔鏡)外科手技を必要とするため、実施可能な医療機関が限られるのが現状です。
IPOM-plus法の特徴
- 術式として確立されており、多くの施設で広く行われている
- 標準化された手技で行うことができ、手術時間を短縮しやすい
- 腹腔内からアプローチするため、ヘルニア門の状態に応じた対応がしやすい
当院がeTEP法を採用している理由

当院では、患者さまにとってより負担の少ない治療を提供するため、eTEP法を導入しています。
eTEP法は従来の手術と比較して手術時間が20〜30分程度長くなる傾向があり、執刀医には高い技術が求められますが、その分、術後の痛みや日常生活への影響、再発リスクにも配慮した治療が可能となります。
臍ヘルニアの手術は、単にふくらみを治すだけでなく、術後の経過や生活への影響まで見据えて行うことが重要です。当院では腹壁ヘルニアに精通した医師が手術を担当し、安全性に十分配慮しながら丁寧に治療を行っています。
また、手術時の麻酔は麻酔科専門医が担当し、術中の全身管理を徹底しています。さらに、メッシュを留置する層に対して神経ブロック(痛み止めの処置)を併用することで、術後の痛みの軽減が期待されます。
eTEP法による低侵襲な腹腔鏡手術により、術後の痛みを抑えつつ、早期の社会復帰を目指した治療を提供しています。
※ 患者さまの背景やヘルニアの病態を考慮して術式を決定していますが、当院ではより負担の少ないeTEPを第一選択としております。




