鼠径ヘルニア(脱腸)『初期だから放置して良い』は大きな間違い!
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック 岩村宣亜(せんあ)です。
当院では、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り腹腔鏡手術に特化した診療を行っており
昨今の手術件数は月間50件以上を誇ります。
普段外来をしていて、
『かかりつけで、まだ初期だから放置しておいて良いと言われた』
『もっと膨らみが大きくなってから来てくれと言われた』
などと仰る患者さまをしばしば見かけます。
はっきりと申し上げますが、これらは全て間違いです。
本日は、『鼠径ヘルニアは初期でも放置してはダメな理由』について分かりやすく解説いたします。
理由1:鼠径ヘルニアには初期のうちに気が付きにくい
鼠径ヘルニアの多くは、無自覚のうちに発症します。
風呂上がりの姿見で初めて気付いたり、他人に指摘されて初めて気付いたという患者さまもしばしば。
また、皮下脂肪が厚い方などでは膨らみが目に見えて現れにくいことから
発症して数ヶ月間、気が付かない方も少なくありません。
自覚してから更に放置すると、自覚のない期間を含めると年単位に及ぶこともあり
必然的に放置期間が長期に及んでしまいます。
これは、知らない間に嵌頓のリスクに晒され続けていることを意味します。
理由2:膨らみの大きさと進行度には関連がない
ヘルニアが小さいから初期である、という認識は必ずしも正しくありません。
数年来放置している患者さまでも、膨らみが小さいことはごく普通にあり得ますし
逆に数ヶ月の期間で大きさが2倍、3倍と大きくなる患者さまもおられます。
また、膨らみが小さくなり治ったと勘違いされる患者さまもおられますが、
一旦発症した鼠径ヘルニアは治ることはなく、進行する一方です。
このように、膨らみの大きさで進行度や重症度を計ることはできず
『小さいから初期で放置して良い』と言うのは、大きな間違いです。
理由3:大きくても小さくても嵌頓は起き得る
鼠径ヘルニア治療の最大の目的は『嵌頓を予防すること』。
率直に言うと、膨らみが小さくとも嵌頓は起こり得ます。
例えば、Richter(リヒター)型ヘルニアとは、腸壁の一部がヘルニア部位に詰まってしまうこと。
小さなヘルニア(特に大腿ヘルニア)に起こりやすく、典型的な症状が現れにくいことから
気付いた時には腸が壊死していることも稀ではありません。
また、鼠径部の膨らみがほとんどない若年の患者さまでも、
急激な陰嚢の痛みと共に陰嚢の腫大を認め来院される患者さまがしばしばおられます。
これは、例え小さな外鼠径ヘルニアでも、臓器の嵌頓を起こした状態が強く疑われます。
このように、鼠径ヘルニアの大小と嵌頓のリスクは必ずしも相関せず
『小さいから腸は詰まらない』という文言も、残念ながら間違いだと言えます。
少しでも迷ったら、専門医の診察を
このように、鼠径ヘルニアの病態や恐ろしさは
専門外の医師でも認識していないことがございます。
昨今は少しずつ、診療の専門化や病態の認知が進んでいるのか
『鼠径ヘルニアを疑い、かかりつけの医師に専門医の早急な診察を勧められた』
と、素早いご紹介を頂けるケースも少ないありません。
このように、少しでも鼠径ヘルニアを疑った場合は、専門医の診察を強く推奨します。
診察や相談の結果、経過観察や治療を急ぐ必要がない場合もございます。
まずは取り急ぎ、専門医に意見を仰いで下さい。
当院では、鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り治療に特化した診療を行っております。
お仕事やご家庭の都合で入院が難しい患者さまに多くご来院を頂き、
お陰様で開院後一年、手術件数が500件を超えました。
鼠径ヘルニア(脱腸)の日帰り治療は、大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックにお任せ下さい。