コロナ禍の外科診療への警鐘と専門クリニックの役割
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックの岩村です.
当ブログに足をお運び頂き,ありがとうございます.
コロナウイルスが収束の気配を見せません.
緊急事態宣言の発出により各都道府県の感染者数は減少傾向にはありますが,
一部の県を除き,1ヶ月の延長が見込まれています.
海外ではワクチンのデリバリーが進む一方,こと本邦においては
一般の方々への接種は現状,5月以降でしょうか.
本日は,コロナウイルスのパンデミックにより外科診療全体が受ける影響と
日帰り手術クリニックの存在意義について,お話させて頂きます.
予定手術の延期は患者様の予後を悪化させ得る
我々外科医が行う治療行為のひとつに,手術があります.
対象疾患は多岐に渡りますが,主に悪性疾患と良性疾患に分かれます.
コロナウイルスによる病床の確保及び使用,予期せぬ入院患者様や職員の感染により
新規の救急受け入れや外来を閉鎖せざるを得なくなり
受診控えも加わって,手術数の減少や予定手術の延期が各地で起こっています.
通常,手術を受ける決心をしても受診当日やその翌日に手術を行える訳ではなく,
良悪性や緊急性,また診療機関にもよりますが,
予定手術はおよそ2週間から1ヶ月前後が目安となります.
これに手術の延期が加わると,良性疾患の手術ならいざ知らず
大半の悪性疾患の患者様の予後には,直接の悪影響が及ぶことは言うに及びません.
その他にも,
乳がんや皮膚がんなど,なんとなく受診を憚られる疾患の受診控え,
また健診業務の滞りにより悪性疾患の拾い上げが遅れることで
残念ながら手術では治せない状況で発見されるケースも考えられます.
これは外科診療のみならず,どの診療科でも起こっていることでありますが
命に直結する医療を担っている身として,大変危機感を感じています.
手術件数が多い基幹病院は救急患者も多くを受け入れる傾向がある
手術件数が多い医療機関を,ハイボリュームセンターと言います.
その多くは基幹病院が担っており,同時に地域の救急医療を担う
高度救命救急センターを併設するケースも多くあります.
現在,患者様がインターネットなどにより病院を選べる時代になりましたが
超高度な専門医療を除き,全国どこでも一定の質を担保された医療を受けられるのが
日本の医療の基盤であり,ハイボリュームセンターは全国各地にあります.
一方で,コロナウイルスのパンデミックにより
高度救命救急センターが感染患者を多く受け入れざるを得なくなり
結果的にその病院全体の機能が停止してしまう事例が,全国各地で見受けられます.
国立病院や自治体病院であれば,その傾向はより強くなります.
加えて,都市部なら近隣の複数の医療機関の助力が得られる場合もある一方で
医療過疎の問題を抱える地方においては,自治体そのものの医療が崩壊してしまう可能性があります.
日帰り手術クリニックができること
そんな中,日帰り手術クリニックは専門に特化した役割を有しており
対象疾患が限られているため,予定手術の延期による影響を緩和する
いわゆる緩衝材の役割を果たす立場にあると考えています.
日帰り手術クリニックは,病院で手術が延期となった患者様の受け皿となることで
医療崩壊の阻止に一役買うことが出来るのでは,と考えます.
医師の視点からみた,専門性の高いクリニックのメリットとしては
・対象疾患を絞り治療件数を増やすことで,医師及びスタッフの経験値が高まり,高い専門性を有する
・一般内科診療を行わないクリニックは,発熱患者の診療は行わない(クリニックによる)
・予約制を敷くクリニックの割合が多くなり,発熱や感冒症状の有無などを事前に確認することで,感染リスクを抑えられる
などが挙げられます.
発熱診療を行わない代わりに,専門性に応じた役割を最大限に果たすことが
結果として医療全体の底支えになれば本望です.
本日は以上です.
ご一読頂き,ありがとうございました.
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村 宣亜
鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください
JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。
鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。