【治療法】鼠径 (そけい) ヘルニア (脱腸) はこうやって治します
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックの岩村です。
本日は、そけいヘルニアの治療法についてお話します。
そけいヘルニアはお薬では治りません
前回にもお話しましたが、そけいヘルニアは下腹部の筋肉の壁に穴が開いた状態を指します。
その穴をお薬で塞ぐことは不可能で、手術による『穴の閉鎖』が必要です。
穴の閉鎖方法には、大きく分けて以下の二種類があります。
- 組織縫合法
- メッシュ法
組織縫合法は、糸で直接穴を縫い閉じる方法で、1990年以前にはよく行われていました。
体に異物を入れることで、感染のリスクが上昇します。
糸で縫い閉じることにより感染のリスクは低い(異物は糸だけ)一方で、
緊張がかかってしまうため疼痛が強く、また再発のリスクが高いため
現在では特殊な状況下以外ではあまり行なわれません。
上記の理由から、現在はメッシュ法が主流となっています。
メッシュ法はテンションフリー手術と呼ばれ、組織の緊張や痛みが少なく
現在の医療水準では清潔な環境で手術を行うため感染リスクも低く保たれており
日帰り手術にも適した方法です。
メッシュ法ですが、現在では以下の二種類が行われています。
- 局所切開法
- 腹腔鏡手術
局所切開法は読んで字の如く、そけい部に切開を置き
メッシュを留置して穴を閉じる方法です。
メリットとして、
・手術時間が短い(40分程度)
・腰椎麻酔や局所麻酔で行うため、全身への負担が少ない
・合併症の多い患者様でも受けられる
などが挙げられます。
デメリットとして、
・4cm程度の傷跡が残ってしまう
・腹腔鏡手術に比べて合併症が多く、術後の回復が遅い*
などが挙げられます。
一方で、比較的新しい治療法として腹腔鏡手術があり
全身麻酔下に細いカメラを使って患部を観察し、
鉗子と呼ばれる長い器具を使って患部にメッシュを敷き込みます。
腹腔内からアプローチするTAPP法と、
腹膜外からアプローチするTEP法に分かれます。
メリットとして、
・傷が小さく、目立ちにくい
・痛みが少ない
・鼠径部切開法に比べて術後の合併症が少なく、回復が早い*
などが挙げられます。
デメリットとして、
・鼠径部切開法に比べて手術時間が長い(60分程度)
・術後の漿液腫(手術部位に水が溜まる)が多い
などが挙げられます。
加えて、全身麻酔が必要なことから、
日常生活に支障を来す程度の重度の全身合併症を有する患者様への適応には
十分慎重になる必要があります。
(TAPP法とTEP法に関して、どちらが優れているなどといったエビデンスは現状乏しく
どちらも平等に受けて頂けます)
当院は内視鏡手術(TAPP法)を提供致します
全国的に見ると、
局所切開法が6-7割、腹腔鏡手術が3-4割といった状況です。
ガイドライン上では、どちらの方法でも
安全性や治療成績の観点から推奨されています。
一方で、どちらの方法にも、
メリット・デメリットがあるのも事実です。
全国的に見ると、日帰り手術は
局所切開法で行われているところがほとんどです。
当院は、まだ全国的にも珍しい
内視鏡手術専門の日帰り手術クリニックです。
小さな傷で、お体に負担が少ない手術を、提供させて頂きます。
本日もご一読頂き、ありがとうございました。
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村 宣亜
(出典:*鼠径部ヘルニア診療ガイドライン、日本ヘルニア学会)
鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください
JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。
鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。