鼠径ヘルニア豆知識

【解説】鼠径ヘルニア(脱腸)手術後の合併症について

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村宣亜(せんあ)です。

鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)に限らず、
合併症の可能性がゼロ、という治療はありません。

『私、失敗しないので』
有名なフレーズかと思いますが、

合併症は決して失敗という扱いではなく
どんなに腕の良い医師でも、ある一定の確率で起こす可能性があります。

本日は、鼠径ヘルニアの手術の合併症について
分かりやすくお話させて頂きます。

前提としまして、これからお話する内容は
切開法、内視鏡手術に関わらず
メッシュを用いた手術全般にまつわるお話です。

鼠径ヘルニアの具体的な治療法については、過去の記事をご参照ください

その1: 漿液腫

『手術部位に水が貯まった状態』を指します。

鼠径ヘルニアの治療法は、
鼠径部(足の付け根の部分)に空いた筋肉の穴を、
メッシュで塞ぐことです。
メッシュを置くことでお腹の中のものは出てこなくなりますが、
元来ヘルニアがあって膨らんでいたスペースは
そのまま残ります。
この部位に手術後に水が溜まり、
こぶのように膨れた状態になります。
これを漿液腫と呼びます。

大きさは、ピンポン玉大から握り拳大まで様々です。

手術直後から発症し、
一ヶ月以内には概ね落ち着きます。

特に痛みなどの症状を伴うものではありませんが、
状況に応じて、針を刺して水を抜く処置を行う場合もあります。

その2: 血腫

『手術部位に血液が溜まった状態』を指します。

傷を閉じた後にじわじわと出血する場合や、
稀に手術から時間が経過した後に
出血が見られる場合があります。

ほとんどは自然に体が吸収しますが、
ごく稀に止血処置が必要となる場合があります。

その3: 感染

『傷に細菌が付着して、化膿した状態』を指します。

通常、手術器具は完全に滅菌した状態で使用しますが
それでも何らかの形での細菌の混入により
手術後に感染を来す場合があります。

傷の浅い部分の感染で
治癒する場合がほとんどですが、

メッシュは体にとって異物であることから
メッシュに細菌が付着してしまうと、
感染が非常に治癒しにくくなる場合があります。

この場合、極めて稀ながら
メッシュを取り除かないと感染が落ち着かない場合があります。

その4: 慢性疼痛

『手術後、半年以上経っても痛みが落ち着かない状態』を指します。

手術直後の傷の痛みは、数日から一週間で
おさまる場合がほとんどであり
つっぱり等の症状を含めても、概ね一ヶ月以内には軽快します。

しかしながら、
2ヶ月、3ヶ月と経過しても
痛みが続く場合があります。
ガイドライン上は半年以上と定義されています)

原因は様々とされていますが、
治癒過程でメッシュが縮んだり、
瘢痕化(周りの組織と共に硬くなる)することにより
神経を巻き込むことが原因と考えられています。

慢性疼痛を発症した場合、
専門的な痛みのコントロールや
痛みが長期に及ぶ場合は、メッシュを取り除く手術が
必要になる可能性があります。

当院で採用する内視鏡手術は、
従来の切開法と比較して慢性疼痛の発症リスクが
低いとされる手術法です。

その5: 再発

『手術で筋肉の穴を塞いだのにも関わらず、
お腹の中のものが
再び外に飛び出る状態』を指します。

『せっかく手術したのになぜ?』
と思われるのも当然かと思います。

原因として、
メッシュが年単位の時間を経て少し縮んでしまうため、
結果として穴を覆い切れなくなり

再びメッシュの際から脱出を来してしまうことが挙げられます。

再発が起こりやすい時期は
手術後1〜2年程度とされていますが、
これ以上経過した後に再発を来す場合もあります。

手術術式やメッシュの素材の改良により
再発率は下がってきておりますが、
現在でも1%以下と決して高くはないものの
再発のリスクがつきまといます。

もし再発を来した場合、
再手術が必要となるだけでなく

初回手術の方法により、再手術の難易度がかなり変わって参ります。

専門医に是非、ご相談を頂ければ幸いです。

治療によるストレスを、最小限に

いかがだったでしょうか?

合併症は挙げ始めればキリがなく
例えば、麻酔に関する合併症など
ここに記載のない合併症の可能性もあります。

しかしながら、とりわけ
再発と慢性疼痛は
患者さまのQOL (生活の質) を大きく下げてしまう合併症です。

これらの合併症の可能性を限りなく、
ゼロに近付ける努力を惜しまないこと

これは当然のことながら、

日帰り内視鏡手術の最大のメリットのひとつである

『患者さまへの治療のストレス、ならびに
治療後の日常生活への支障を最小限にすること』

これを目下、最大の使命として
クリニック運営を行って参ります。

本日は以上です。

ご一読いただき、ありがとうございました。

大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック

岩村 宣亜

鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください

JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。

鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。

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大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
院長 岩村宣亜
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
外科専門医、消化器外科専門医
2022年8月に大阪梅田に大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックを開院。早期の社会復帰が可能な鼠径ヘルニアの内視鏡日帰り手術の普及に努める。
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