【解説】鼠径ヘルニアを放置していたら…
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックの岩村宣亜(せんあ)です。
鼠径(そけい)ヘルニア(脱腸)治療法は、手術です。
でも、手術って聞くと、途端に億劫になりますよね…
『毎日忙しいし、手術は怖いし…』
こんなお考えで治療を先延ばしにされている方、
少なくないのではないでしょうか。
本日は鼠径ヘルニアを放置した場合に起こり得ることについて
わかりやすくお話させて頂きます。
その1: 嵌頓(かんとん)
嵌頓は、鼠径ヘルニアの最も怖い合併症です。
鼠径ヘルニアは股の部分の筋肉の緩みにより発症し、
筋肉の穴からお腹の中のものが脱出した状態です。
筋肉の穴に腸(小腸)が詰まることにより、
腸の血の巡りの悪化(壊死)、腸閉塞、腹膜炎
などを引き起こし、命の危険があります。
その2: 便秘や排尿障害
ヘルニアとは、『飛び出す』という意味のラテン語ですが
『どこから飛び出すのか』
『なにが飛び出すのか』
により、病態が決まります。
鼠径ヘルニアの場合、
『どこから飛び出すのか=鼠径部の筋肉の穴』なのですが
『なにが飛び出すのか=お腹の中のあらゆるもの』
例えば大腸や膀胱など、様々です。
比較的稀なケースなのですが、
便の通りや尿の出が悪くなってしまい
便秘や排尿障害を引き起こす可能性があります。
その3:巨大化による見た目の悪化
鼠径ヘルニアを長年放置することにより、
筋肉の穴が少しずつ引き伸ばされて広がります。
その結果、股の膨隆が徐々に大きくなり
男性の場合だと、その膨らみが最終的に陰嚢の中に入り込むため
片側の陰嚢が巨大に腫れ上がってしまいます。
狸のふぐり(陰嚢)は大きい、なんて言葉がありますが
私も外来で診察していて、
握り拳より大きな状態にまで腫れ上がった陰嚢に
幾度として出会ったことがあります。
こんな陰嚢だと、見た目だけでなく
歩きにくくなりますよね…
(出典: 平成狸合戦ぽんぽこ)
番外編: 治療が難しくなります
ここからは番外編、
我々治療をする側の視点からお話いたします。
鼠径部に開いた筋肉の穴は
腹圧に押されて年々大きくなる訳ですが、
治療の過程でここをきちんと塞がないと
再発のリスクが高まります。
長年放置された鼠径ヘルニアは
筋肉の穴がかなり大きくなっており
また年季が入ることによる様々な影響により
手術が難しくなります。
手術時間は例外なく伸びますので、
我々医療者泣かせな状態であるのみならず
麻酔時間が伸びて身体に負担がかかるなど、
様々な合併症が増えます。
これは患者さま、我々双方にとっても
決して好ましいものではありませんよね。
まずはお気軽に、ご相談ください
いかがだったでしょうか?
手術と聞くと億劫な気持ち、とてもよくわかります。
我々が提供する【日帰り内視鏡手術】は、
小さな傷で体の負担が少ない
日帰りに適した手術法です。
日帰り内視鏡手術というシステムの普及が、
潜在的に悩みを抱えている患者さまに対して
より良い選択肢を提供出来るのではないか
そんなことを日々、祈りつつ
診療に邁進して参ります。
本日は以上です。
ご一読いただき、ありがとうございました。
大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニック
岩村 宣亜
鼠径ヘルニアの治療は当院を受診ください
JR大阪駅から徒歩3分の大阪日帰り外科そけいヘルニアクリニックでは、鼠径ヘルニアを内視鏡(腹腔鏡)による日帰り手術で治療しています。
鼠径ヘルニアの症状があるなど、お困り・お悩みの方はぜひ当院を受診ください。